【曹洞宗の方向け】板位牌(塗位牌・唐木位牌・モダン位牌)の選び方を解説
はじめに
位牌を選ぶ際、「塗位牌・唐木位牌・モダン位牌」の違いに加え、「板位牌」「回出位牌」「過去帳」「法名軸」といった用語が出てくると、どれを選べばよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
曹洞宗では、「板位牌」を正式な位牌として用いるのが一般的です。
この記事では、曹洞宗では一般的な板位牌の形式を中心に、塗位牌・唐木位牌・モダン位牌の特徴や、供養形式についても整理して解説します。
曹洞宗における位牌の重要性
曹洞宗では、位牌は故人の魂の依代(よりしろ)とされ、仏壇やお寺での供養の中心とされます。「只管打坐(しかんたざ)」すなわち「ただひたすらに坐る」修行を根本とするという教えに通じるように、毎日の丁寧な供養が尊ばれ、位牌はその象徴的存在です。
本位牌の種類:塗位牌・唐木位牌・モダン位牌
① 塗位牌(ぬりいはい)

- 黒塗りや漆塗り仕上げの伝統的な位牌
- 金文字との組み合わせが格式を感じさせる
② 唐木位牌(からきいはい)

- 黒檀や紫檀などの天然木を使用
- 木目を活かした落ち着きと重厚感が特徴
- 仏壇との一体感を重視した家庭に選ばれる
③ モダン位牌

- シンプルでコンパクトなデザイン
- 無垢材やアクリル、合板なども使用される
- 家具調仏壇との相性が良く、現代の住宅に調和
- 曹洞宗でも開眼供養など基本作法を守れば問題なし
曹洞宗では「板位牌」が一般的
板位牌(いたいはい)とは?

- 故人1名または2名ごとに1つ作る位牌
- 表面に戒名、裏面に俗名・没年月日・享年を記載
- 仏壇の中に安置し、家庭内供養の中心となる
- 曹洞宗をはじめとする禅宗で用いられます
曹洞宗における板位牌の特徴
- 伝統を重んじる曹洞宗では、仏壇には一人ひとりの戒名を刻んだ板位牌を祀るのが基本
- 家系で複数の故人がいる場合も、それぞれ個別に板位牌を作ることが推奨される
その他位牌について
回出位牌(くりだしいはい)

- 一つの本体に複数枚の戒名札を納める形式の位牌
- 曹洞宗では「板位牌」を用いるため、ほとんど使われません
法名軸(ほうみょうじく)

- 法名(戒名)を記した掛け軸。
過去帳(かこちょう)

- 故人の戒名・命日などを記録した帳面
曹洞宗における「開眼供養(魂入れ)」について
位牌を用意した際には、「開眼供養(かいげんくよう)」または「魂入れ(たましいいれ)」という儀式を行うことが曹洞宗では非常に重要です。
開眼供養の意味
- お寺の僧侶に読経していただき、仏の力を宿らせることで初めて「供養の対象」となります。
- この儀式を経て、故人の魂が宿る「霊位」として意味を持ち、仏壇に安置することができます。
開眼供養の依頼方法
- 菩提寺がある場合は、位牌が完成するタイミングで連絡し、読経をお願いしましょう。
- できれば仏壇への安置と同時に供養してもらうとよいとされています。
- 僧侶が自宅に訪問して行うこともあれば、お寺での供養もあります。
タイミング
- 四十九日法要までに開眼供養を行い、本位牌を仏壇に祀るのが一般的です。
- それまでは仮の白木位牌を使用します。
よくある質問(Q&A)
Q1:曹洞宗では回出位牌は使えますか?
A:正式な形式としては板位牌が一般的ですが、スペースの都合などにより回出位牌を使用する家庭もあります。
Q2:過去帳や法名軸で供養しても良いですか?
A:曹洞宗では板位牌が供養の中心とされます。過去帳や法名軸は使われません。
Q3:モダン位牌でも曹洞宗に合いますか?
A:はい。供養の基本作法(開眼供養や記載内容)を守れば問題ありません。
まとめ|曹洞宗では「板位牌」を中心に、形式と心を大切に
曹洞宗では、故人一人ひとりに向き合う供養の心を大切にしており、位牌としては「板位牌」を用いるのが一般的です。
ご先祖様への感謝と供養の気持ちを形にするために、仏壇・故人・家族の意向に合わせて、最適な位牌形式を選びましょう。