ご本尊の選び方|曹洞宗のご本尊の種類と仏壇での飾り方

ご本尊の選び方|曹洞宗のご本尊の種類と仏壇での飾り方

 

1. はじめに|ご本尊の大切さと曹洞宗の特徴

仏壇は、ご先祖様や仏様に日々の感謝と祈りを捧げる場所です。

その中心に祀られる「ご本尊」は、信仰の拠り所であり、ご家庭においてもとても重要

な存在です。そして、曹洞宗では、「一仏両祖(いちぶつりょうそ)」という荘厳形式

を大切にしています。

この記事では、曹洞宗におけるご本尊の意味や種類、仏壇への配置方法、現代の住環境

に合わせた飾り方の工夫などを、分かりやすく解説していきます。


2. 曹洞宗の基本形式『一仏両祖』とは

曹洞宗における仏壇の中心的な形式が「一仏両祖(いちぶつりょうそ)」です。

これは、ご本尊である「釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)」を中央に安置し、左右に曹洞

宗の祖師である「道元禅師(どうげんぜんじ)」と「瑩山禅師(けいざんぜんじ)」を

祀る構成を意味します。

- 中央:釈迦如来(ご本尊)

- 向かって右:道元禅師(承陽大師)

- 向かって左:瑩山禅師(常済大師)

この形式は、曹洞宗が大切にしてきた師資相承(ししそうじょう)=師から弟子へと法

を正しく伝えるという伝統を象徴しています。

ご家庭の仏壇においても、この「一仏両祖」を整えることで、宗派としての信仰を大切

にした供養が可能となります。


3. ご本尊の種類|仏像・掛軸・スタンド型の違い

家庭で祀るご本尊には、さまざまな形があります。一般的には次の3つに分類されます。

仏像(立体)

木彫や金属で作られた釈迦如来像。

重厚で存在感があり、伝統的な仏壇に非常によく合います。

本格的な信仰を示す象徴として選ばれることがあります。

 

掛軸

絹本や紙に描かれたご本尊を、織物の表装で仕立てた掛け軸にすることで、格調高く、

かつ荘厳な印象を与えます。

 

③スタンド型

近年、伝統的な仏壇に加え、リビングや洋室にも調和する「スタンド型ご本尊」が注目

されています。スタンド型は、仏像や掛軸と同様に信仰の中心としてご本尊をお祀りで

きる形式でありながら、モダンな住環境にも自然に馴染むのが大きな特長です。

どの形式であっても、「心を込めて祀ること」が大切です。

必ず仏像でなければならないという決まりはなく、ご家庭の事情や住環境に合わせて選

ぶのが望ましいでしょう。

 

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4. 仏壇でのご本尊の正しい配置と飾り方

ご本尊は、仏壇の最上段の中央に安置します。

ご本尊の左右には脇侍(わきじ)である道元禅師・瑩山禅師を配置し、「一仏両祖」の

形式を整えます。

【配置の基本】

上段|ご本尊・両祖師|仏像または掛軸・スタンド型

中段|位牌・香炉・花瓶・燭台|

下段|供物台|果物や菓子などのお供え

五具足などは左右対称に配置することで、仏壇全体のバランスが整います。

飾る際には以下のようなポイントにも注意しましょう:

- ご本尊が中央・最上段に来るように配置

- 仏具はできるだけ清潔に保ち、配置を乱さない


5. 脇侍(道元禅師・瑩山禅師)の役割と位置

ご本尊の左右には、脇侍として道元禅師と瑩山禅師を配置します。

この両祖師は曹洞宗の精神的支柱であり、ご本尊と同様に敬意をもって祀ることが重要

です。

道元禅師は曹洞宗の開祖であり、正しい仏法を日本にもたらした人物です。

瑩山禅師はその教えを広め、全国に寺院を建立し、現在の曹洞宗の礎を築いたとされて

います。

ご本尊(釈迦如来)を中央に、その右側に道元禅師、左側に瑩山禅師を祀ることで「一

仏両祖」の形が完成します。


6. モダン仏壇・省スペース仏壇での工夫

現代の住宅事情では、伝統的な仏壇を置くスペースがないという方も増えています。

そのような場合でも、ご本尊を中心とした荘厳は可能です。

- 壁掛けの掛軸タイプのご本尊を使用する

- コンパクトなモダン仏壇に掛軸・ミニ仏像・スタンド型を配置

大切なのは、「祀る心」です。

小さなスペースでも清浄に整えることで、立派な信仰の場となります。


7. ご本尊がまだない場合の対応方法

仏壇はあるが、ご本尊がまだ用意できていないというケースもあります。

そのような場合でも、できるだけ早くご本尊を整えることをおすすめします。

- 一時的に位牌だけを祀ることも可能

- 可能であれば、早めに釈迦如来の掛軸または仏像を用意

- 宗派に即したご本尊を選ぶため、お手次のお寺や仏壇店に相談するのが安心です

ご本尊は信仰の中心であり、位牌より上位に配置するものです。

仏壇を整える際には、まずご本尊を用意することから始めるのが理想的です。


8. ご本尊を祀る心構えと日々の供養の意味

ご本尊は、私たちの心の支えとなる存在です。曹洞宗では、日常生活そのものが修行と

されており、ご本尊に手を合わせることはその一環といえます。

朝に仏壇に向かって合掌し、心を整えて一日を始める。夜には感謝の気持ちを込めて祈

り、心を鎮める。このような小さな行いが、やがては大きな安心や安らぎへとつながっ

ていきます。

また、ご本尊を通してご先祖様や家族との絆を深めることもできるでしょう。仏壇に手

を合わせる習慣が家族の会話のきっかけとなり、信仰が世代を越えて受け継がれていく

のです。


9. 仏壇における『供養』とは何か

供養とは、仏様やご先祖様に対して敬意を払い、感謝を捧げる行為です。曹洞宗におい

ては、日常の中で仏様と向き合い、感謝し、心を整えることそのものが供養とされてい

ます。仏具を整える、掃除をする、花を供える。どれもが供養の一つであり、心をこめ

て行うことが大切です。

また、年忌法要やお盆、お彼岸などの仏教行事の際にご本尊に感謝の気持ちを新たにす

ることも、供養の大切な機会となります。


10. ご本尊の引越し・処分のマナー

ご本尊を含む仏壇を移動したり処分したりする際は、いくつかの配慮が必要です。

- 引越し時にはお寺にお性根抜き・入れ(魂抜き・魂入れ)をお願いするのが丁寧です。

- 処分する場合も、単に廃棄するのではなく、お寺にて供養を受けるのが一般的です。

- 新しい仏壇やご本尊を迎える際にも、開眼供養を依頼することで、信仰の場としての

尊厳を保てます。こうした一つひとつの作法が、ご本尊に対する敬意を示し、心の整理

にもつながります。


11. 子や孫に伝えるご本尊の意義

現代では核家族化や住環境の変化により、仏壇やご本尊の存在が疎かになりがちです。

しかし、ご本尊を通じて「祈る習慣」「感謝の気持ち」「目に見えない存在への尊敬心」

を伝えることは、次の世代にとって大きな意味を持ちます。

仏壇の前で語る家族の思い出や先祖の話は、子どもたちの心に深く刻まれるものです。

形式だけでなく、自然な形で祈りと感謝の文化を引き継いでいくことが大切です。


12. よくある質問と選び方のポイント

Q. ご本尊は仏像と掛軸、どちらがよいですか?

どちらでも問題ありません。仏壇のサイズやご家庭の事情に合わせて選びましょう。

Q. ご本尊は中古や譲り受けたものでも大丈夫?

新たに用意したものが望ましいです。

Q. ご本尊はどこで購入できますか?

仏壇・仏具店、宗派に対応したオンラインストアなどで購入できます。

選ぶ際には「釈迦如来」であること、サイズが仏壇に合っていること、そして心を込め

て祀れることがポイントです。


13. まとめ|ご本尊を通じて供養の心を育てる

ご本尊は、仏壇の中心であり、信仰生活の要です。

曹洞宗では「一仏両祖」の教えを通して、ご本尊とともに両祖師を大切に祀ることが伝

統とされています。

どのような形式であれ、心を込めてお祀りすることで、ご先祖様や仏様への感謝が形に

なります。仏壇の中のご本尊を見つめる時間は、自分自身を見つめ直す大切なひととき

でもあります。

日々の暮らしの中で、ご本尊に手を合わせる習慣を持つことは、静かで豊かな心を育て

る第一歩です。

 

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